地球観測衛星 その4(情報収集衛星)IGS
情報収集衛星とは
情報収集衛星(略称:IGS)は、日本政府が運用している地球観測衛星群です。安全保障・災害対応を目的とした衛星とされていますが、事実上の軍事偵察衛星と推測されています。管轄は防衛省ではなく、内閣官房の内閣情報調査室とその下部組織である内閣衛星情報センターです。
導入の契機となったのは、1998年の北朝鮮による弾道ミサイル発射実験です。日本政府はこの脅威へ対応する為、IGSの開発・製造に着手しました。これは光学衛星4機、レーダー(SAR)衛星4機、データ中継衛星2機の合計10機で構成される地球観測衛星群です。
名目上は多用途目的なので災害時の運用も行われていますが、機密保持の観点から加工処理された画像が提供されています。使い勝手に制約が掛かっていることから、運用方法の改善が期待されています。
情報収集衛星の現況
IGSは地球観測衛星(光学衛星とSAR衛星)とデータ中継衛星で構成されています。政府資料によると、三菱電機とNECが情報収集衛星の研究・開発に関する主要受注先として突出しており、両社がIGSの開発に中核的な役割を担っていることがうかがえます。
衛星設計寿命は5年程度とされていますが、設計寿命を越えて稼働している機体がある為、2026年1月時点で光学衛星4機・レーダー衛星6機・データ中継衛星1機の計11機が軌道上には配備されています。分解能などの性能は、安全保障上の機密とされていて詳細は公表されていません。
データ中継衛星は、それら地球観測衛星が取得したデータを迅速に地上局に送信するための衛星です。従来、地球観測衛星の取得データは地上局上空を飛行している時のみ、ダウンリンクすることが出来ました。しかし、静止軌道上に配備された中継衛星を利用することにより、ダウンリンク可能時間と即応性が飛躍的に拡大します。この中継衛星は従来の電波通信システムの他に、よりセキュアな光通信システムを搭載しています。
構想上2機の中継衛星の配備が計画されていますが、現時点で2号機の打上げ時期は公表されていません。なおこの中継衛星は、情報収集衛星以外のデータ中継にも活用されています。
短期打上型小型衛星システム
短期打上型小型衛星はIGSに不測の事態が発生した際、その代替衛星を迅速に製造・打上げできる小型光学衛星システムとして開発が進められました。この衛星は製造・試験合わせて3ヶ月で完了すること、100kg以下・分解能1m以下などを目標としています。
2024年03月、カイロスロケット初号機により打上げが実施されましたが、軌道投入には至らず衛星は失われました。2026年4月4日現在、後継機打上げの予定は公表されていません。
