ロケットの基礎知識講座
第1回 ロケットの基本

こんにちは。STAR PRIMER(スタープライマー)の解説係、「解説太郎」です。よろしくお願いします。今日からこの連載で、宇宙開発用の打上げロケットについて、簡単に解説していきます。

よろしくね。最近、宇宙開発に興味がわいてきたところなんだ。

よろしくお願いします。最初は宇宙はどこから始まるのか?という点を説明させていただきます。

そういえば宇宙がどこから始まるかなんて、考えたことはなかったな。。

一般的に宇宙空間と呼ばれるのは、高度100km以上のほとんど大気がない空間の事です。とはいえ、その境で急激に大気密度が減少して無くなる訳ではなく、高度100km以上の宇宙空間にも微小ではありますが大気があります。
ただそこまで難しく考える必要はなく「宇宙空間は100km以上の空間を指し、大気がほとんどない」と覚えていただければ大丈夫です。

宇宙空間は100km以上の空間。了解。

そして、その宇宙空間へ人や物を運ぶ乗り物が、宇宙打ち上げ用のロケットなのです。このロケットに搭載して運ばれる人や物を「ペイロード」(=荷物の意)と呼びます。宇宙開発では頻出する単語なので、覚えておくと便利です。ペイロードの9割は人工衛星と呼ばれる、地球の周りを高速でぐるぐると周る宇宙機(航空機の宇宙版)です。
ここでは日本の主力ロケット「H3ロケット」を例に解説していきます。読み方は「エイチ・スリー・ロケット」です。

おお〜、その名前はTVで見た事があるね。まっすぐ上に飛んでいったのを見たことがあるよ。

その通りです。打ち上げ直後のロケットは上方向に飛んでいきます。ただその後は少しずつ進行方向に機体を傾けて、横方向に加速していきます。TV映像だとちょっと分かりにくいかもしれませんね。

H3ロケットは、このイメージ図のような2段式ロケットです。第1段ロケット・第2段ロケットを垂直方向(縦方向)に積み重ねており、第1段ロケットの側面に補助ロケット、ロケットの先端にはフェアリングと呼ばれる部品が搭載されています。(注意:補助ロケットがない形態のH3ロケットもあります。)
このフェアリングの中にペイロード(≒人工衛星)を搭載しています。そして、飛行中に役目を果たした部分を切り離しながら上昇していきます。

役目を果たした?切り離し?どういう事かな?

そうしないと、人工衛星に必要なスピードが得られないからです。例えば比較的低い地球周回軌道に人工衛星などを投入する場合は、ロケットを第一宇宙速度(秒速7.8km)、つまり時速約28,000km近くまで加速することが必要です。

時速約28,000kmとか、想像もつかないよ・・・

具体的な手順を説明しましょう。H3は第1段ロケットと補助ロケットを点火・燃焼させ、地上から垂直に離陸します。最初に補助ロケットが燃料を使い果たして役目を終えます。第1段ロケットはその時点でも燃焼を続けていますが、使い終わった補助ロケットを付けたままだと重石となり、加速の邪魔となってしまいます。

そこで使い終わった補助ロケットを分離し、身軽になった状態で第1段ロケットで加速を続けます。その次は第1段ロケットの加速中にロケット先端のフェアリングという部品を分離・投棄します。
このフェアリングは、内部に格納したペイロード(≒人工衛星)を加速中の大気抵抗や熱から守る為のカバーです。しかし一定高度を越えると、大気が薄くなりその必要性がなくなります。これもまた重石となるので、必要がなくなった時点で分離して身軽になります。

その後、第1段ロケットは推進剤を使い果たして停止しますが、この時点でも第1宇宙速度に達していません。そこでさらに使い終わった第1段ロケットを切り離し、第2段ロケットを点火・燃焼させて第一宇宙速度まで加速します。こうして想定された軌道に到達したらペイロード(≒人工衛星)を切り離し、ミッション完了となります。

なるほど。人工衛星が地球の周りを回り続ける為には第1宇宙速度まで加速する必要があり、それにはロケットのシビアな運用が必要で、使い終わった部分をどんどん切り離して、効率よくロケットを加速させなければいけないということなんだね?

その通りです!理解が早いですね。

次回はロケットのコストについて解説していきます。
