新型宇宙ステーション補給機 HTV-Xエイチ・ティー・ブイ・エックス

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HTV-Xとは?
HTV-Xは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した新型宇宙ステーション補給機です。これまでISS(国際宇宙ステーション)への物資輸送を担ってきた無人宇宙船HTV(こうのとり)を発展させた後継機で、最大物資輸送能力は約4.7トンから約5.8トンまで増強されています。これは世界各国で運用されている宇宙ステーション補給機の中でも、最大級の輸送能力となります。
HTV-Xは2つのモジュールから構成されます。1つは与圧モジュール。これは実験機器や補給物資などを搭載し、ISSドッキング後は人間が宇宙服を着ずに活動できるモジュールです。もう1つはサービスモジュール。HTV-Xの通信・推進・電源・制御機能が集約されており、外部には船外実験装置や技術実証ミッション機器が搭載可能です。
この2つのモジュールはそれぞれ、将来の単独運用も視野に入れた設計になっています。サービスモジュール中央には直径1m程の空間があり、この空間には宇宙飛行士が通れるほどの与圧トンネルも設置可能な仕様になっています。これは将来、複数のHTV-Xモジュールを結合させたミニ宇宙ステーションを作る構想もあるためです。
2026年4月2日現在、HTV-Xは1号機までが打上げられています。1号機は2025年10月26日にH3ロケット7号機(H3-24W)で打上げられ、10月30日にISSへ結合。その後、2026年3月7日にISSを離脱し、現在は技術実証ミッションフェーズを進めています。
技術実証ミッション
HTV-Xの任務は、ISS(国際宇宙ステーション)への物資補給だけではありません。HTV-XはISSへの輸送を終えて離脱した後、軌道上を最大18カ月間にわたって飛行することが出来ます。これは従来のHTVには無かった能力で、この期間を活用して将来の宇宙開発に資する軌道上実証ミッションを実施できます。現在進行中、或いは今後予定されているミッションを幾つか紹介します。
まずHTV-X1号機では、展開型軽量平面アンテナ軌道上実証「DELIGHT」が計画されています。これは宇宙太陽光発電システム(SSPS)などに必要となる、大型宇宙構造物の構築を見据えた技術実証です。宇宙空間で新型軽量パネルを展開し、展開中の挙動や展開後の構造特性を計測したり、パネルの一部に搭載した軽量平面アンテナの受信レベルの測定などを実施します。
HTV-X3号機では、注目される2つのミッションがあります。1つは自動ドッキング実証です。HTVはISSへドッキングする際、HTVがISS近傍に到着後、宇宙飛行士がロボットアームを操作し、手動でHTVをISSへドッキングさせる方法を取っていました。HTV-Xでは手動方式に加えて、国際標準に合致した自動ドッキング技術の実証も計画しています。
もう1つは大気吸入型イオンエンジン(ABIE)軌道上実証システムです。ABIEは世界でまだ軌道上実証されたことのない新しい電気推進方式で、宇宙空間にある大気を燃料として推進力を得るエンジンです。超低高度衛星の長寿命化に繋がる技術で、今回は軌道上での大気圧縮、イオン化プロセスの実証が予定されています。
それ以外にもHGV探知用の衛星用赤外線センサ実証など様々な軌道上技術実証が計画されており、HTV-Xは新たな技術の実証基盤としても期待されています。
