風神・雷神・長友FuJin RaiJin NagaTomo
風神・雷神・長友とは
風神・雷神・長友は、日本の宇宙開発ベンチャー企業スペースウォーカー(SPACE WALKER)が開発を計画していたスペースプレーンシリーズです。スペースプレーンとは、旅客機の様に滑走して離陸し宇宙空間に到達、その後旅客機の様に着陸する宇宙飛行機です。この3機のスペースプレーンは、ほぼ同型機ですが細部がそれぞれ異なり、ミッション内容も違いがあります。
「風神」は宇宙での無人実験用スペースプレーンです。機体上部に小型実験装置を搭載して高度150kmまで上昇、宇宙空間で無人実験を実施することが出来ます。「雷神」は風神と同型機ですが、機体上部に小型の使い捨てロケットを搭載しています。高高度で小型ロケットを分離・飛翔させて、低軌道に310kgの小型衛星を投入することが可能な仕様です。
「長友」は風神・雷神と同様の機体ですが、こちらは有人仕様となっています。エンジン数は風神・雷神より少ない5基とされていますが、パイロット2名・乗客6名の計8名を乗せて宇宙空間を飛行する事ができる機体です。
LE-8の系譜
このスペースプレーンで注目されるのは、搭載が予定されていたメタンエンジンです。ロケットエンジンに使用される燃料には液体水素やケロシンが広く用いられていますが、液化したメタンを燃料とする宇宙機用エンジンは燃料コスト・高密度・再利用性・宇宙空間での低揮発性などが評価されている次世代ロケットエンジンの1つとされています。
このメタンエンジン開発はIHIが担当する計画でした。IHIは過去にLNG(≒メタン)エンジン「LE-8」を開発した経験があります。このエンジンはGXロケット上段エンジンとして開発が進められていましたが、GXロケット開発計画自体が中止された為、日の目を見ることはありませんでした。
IHIはLE-8開発終了後もメタンエンジン研究・開発を続けており、それらの知見をもとにスペースプレーン用の推力100kN級メタンエンジンを開発する計画でした。このメタンエンジンは風神と雷神に7基、長友には5基搭載される予定でした。
SBIRフェーズからの脱落、そして倒産
スペースウォーカーは文部科学省のSBIRフェーズ3(中小企業イノベーション創出推進基金)の民間ロケット開発・実証フェーズ1に採択され、「サブオービタルスペースプレーンによる小型衛星商業打上げ」という事業名で、最大20億円の交付が受けられることが決定しました。
研究開発の進捗により最大140億円まで上限交付額が増額される可能性がありましたが、2024年9月に実施されたステージゲート審査を通過できず、フェーズ2へ移行することが出来ませんでした。
その後も事業継続の動きは見られたものの、スペースウォーカーは2026年1月に自己破産を申請し、同年2月12日に東京地裁から破産開始決定を受けました。残念ながら、同社のスペースプレーン開発計画は途絶えることとなりました。
スペースプレーン雷神の性能と小型ロケットの比較
| 機体名 | 雷神 | カイロス | イプシロン |
|---|---|---|---|
| 開発国 [運用主体] | 日本 [スペースウォーカー] | 日本 [スペースワン] | 日本 [JAXA・IA] |
| 運用状況 [運用期間] | 開発中 | 開発中 | 運用中 [2013年~] |
| 燃料 | 液化メタン | 固体燃料 | 固体燃料 |
| 直径/重量 | -/54トン | 1.35m/23トン | 2.6m/95トン |
| 打ち上げ費用 [推定値] | ~5億円 | 10億円(試験初号機) | 30億円~ |
| 成功率 | -% [0回/0回] | 0% [0回/3回] | 83% [5回/6回] |
| 打ち上げ能力 [低軌道] |
0.31トン [高度600km] | 0.24トン [高度300km] | 1.2トン~ [高度250×500km] |
| 打ち上げ能力 [太陽同期軌道] |
- | 0.15トン [高度500km] | 0.59トン [高度500km] |
| 打ち上げ能力 [静止遷移軌道] | - | - | - |
| 備考 | 2026年3月29日時点 | 上記は強化型のスペック |
