エレクトロンElectron
エレクトロンとは
エレクロトンは、宇宙開発企業「ロケットラボ」社が開発した、2段式の液体小型ロケットです。ロケットラボの拠点はアメリカとニュージーランドにあり、打ち上げもニュージーランド・マヒア半島やアメリカ・バージニア州から実施されます。ロケットラボはアメリカ・ナスダック市場に上場しており、2023年2月現在、その企業価値は約2800億円と評価されています。
注目ポイントは、そのメインエンジンである「ラザフォード・エンジン」です。この重量わずか35kgのロケットエンジンは、大半の主要部品が3Dプリンターで製造されており、迅速かつ大量生産する事に成功しています。エレクトロンはこのエンジンを第1段ロケットに9機、第2段ロケットに1機、それぞれ搭載しています。
その低価格・使いやすさから、日本企業の人工衛星を打ち上げ事も多く、これまでにキヤノン電子やシンスペクティブ社の地球観測衛星、ALE社の人工流れ星衛星の打ち上げに使用されています。2017年に試験1号機を打ち上げて以降、2023年02月現在までに33機のエレクトロンが打ち上げられています。
再使用化
エレクロトンは、実用小型ロケットとして世界で初めて、第一段ロケットの回収・再使用化を計画しています。ファルコン9の様なエンジン噴射による着陸ではなく、パラシュート等で減速させて海上から回収、あるいはヘリコプターで空中キャッチする方法での回収を目指しています。但し再使用は低コスト化よりも、ロケット製造期間を省略する事による打ち上げ頻度向上を目的としています。
回収されたエレクロンの飛行はまだ実施されていませんが、2022年09月には海上から回収したラザフォード・エンジンの点火に成功しています。
エレクトロンロケットの性能、及び類似ロケットとの比較
機体名 | エレクトロン | カイロス | ZERO |
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開発国 [運用主体] | アメリカ・ニュージーランド [ロケット・ラボ] | 日本 [スペースワン] | 日本 [インターステラ・テクノロジーズ] |
運用状況 [運用期間] | 運用中 [2017年~] | 開発中 | 開発中 |
重量 | 13トン | 23トン | 33トン |
打ち上げ費用 [推定値] | 750万ドル~ | - | 6億円 |
成功率 | 90% [30回/33回] | -% [0回/0回] | -% [0回/0回] |
打ち上げ能力 [低軌道] |
0.3トン | 0.24トン [高度300km] | 0.15トン [高度300km] |
打ち上げ能力 [太陽同期軌道] |
0.2トン [高度500km] | 0.15トン [高度500km] | - |
打ち上げ能力 [静止遷移軌道] | - | - | - |