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Epsilonイプシロン

イプシロンロケットとは

イプシロンロケットは、日本の宇宙研究開発機構(JAXA)とIHIエアロスペース社主体で開発された、日本の衛星打ち上げ用ロケットの1つです。同様にJAXAが運用中の主力ロケットH-2Aとの大きな違いは、その能力・目的そして使用される推進剤です。H-2Aは高度200kmに10トン以上のものを打ち上げられる大型ロケットですが、イプシロンは1.5トン以下の小型衛星用打ち上げを目的としています。

またHー2Aは主に液体燃料を使用する「液体燃料ロケット」ですが、イプシロンは固体燃料を使用する「固体燃料ロケット」です。日本は2種類のロケットを開発・運用することにより、液体・固体ロケット双方の技術を維持しています。なおイプシロンは、オプション形態として衛星軌道投入精度向上を目的とした小型液体エンジン(PBS)を追加搭載可能となっています。

イプシロンロケットシリーズは、鹿児島県にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。

イプロシンロケットの特徴

イプシロンの特徴は、低コストで運用できる事にあります。以前運用されていたMV(ミューファイブ)固体ロケットは、イプシロンより打ち上げ能力が多少高いものの、非常に高コストで使い辛い点があるロケットでした。

そこでイプシロンでは、「世界一コンパクトな打ち上げ」を目指して開発が進められました。ロケット本体のみならず、発射管制に必要な機器を小型化・低コスト化し、さらに発射管制は従来80人体制だったものを、最小8人まで減らすことができました。

6号機の失敗とイプシロンSロケット

イプシロンは5号機まで完璧な打ち上げを見せていましたが、2022年10月に打ち上げた6号機は途中でロケットに異常が発生し指令破壊されました。2024年現在、失敗原因は特定されています。[詳細]

イプシロンの運用は6号機で終了し、現在はイプシロン改良型の「イプシロンSロケット」の開発が進められています。これはJAXAと三菱重工が開発したの次期主力ロケットH3の開発成果等を利用して、さらなる打ち上げ能力向上・コストの低減・信頼性を向上させたイプシロンの性能向上型です。

イプシロンSは2024年度打ち上げを目指して開発が進んでいますが、2023年7月14日、能代ロケット実験場で第2段固体モーターが実験中に爆発。人的被害はなかったものの、施設が大きく破壊されました。これにより計画の遅れが心配されています。

UPDATE:2024年3月27日

イプシロンロケットの性能、及び類似ロケットの比較

機体名 イプシロンミューファイブH-2A
開発国
[運用主体]
日本
[JAXA・IA]
日本
[JAXA]
日本
[JAXA・三菱重工]
運用状況
[運用期間]
運用中
[2013年~]
退役済
[1997年~2006年]
運用中
[2001年~]
重量95トン140トン445トン
打ち上げ費用
[推定値]
30億円~75億円~80~120億円
成功率83%
[5回/6回]
85%
[6回/7回]
97%
[47回/48回]
打ち上げ能力
[低軌道]
1.2トン
[高度250*500km]
1.85トン
[高度250km]
10~15トン
[高度300km]
打ち上げ能力
[太陽同期軌道]
0.6トン
[高度500km]
-3.6~4.4トン
[高度800km]
打ち上げ能力
[静止遷移軌道]
--4~6トン

参考ページ

ロケットの基礎知識講座

日本のロケット

日本のスペースプレーン

世界のロケット