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情報収集衛星IGS

情報収集衛星とは

情報収集衛星(略称:IGS)は、日本政府が運用している地上観測衛星群です。防衛・災害対応の為の衛星とされていますが、事実上の軍事偵察衛星です。分解能などの性能は安全保障上の機密とされていて、詳細は公表されていません。管轄は防衛省ではなく、内閣府の内閣情報調査室(通称:内調)という情報機関です。IGSの製作は、日本電気と三菱電機が主導していると推定されています。

導入の発端は北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射実験です。日本政府はこれを偵察する為に、IGSの開発を決定。2024年06月現在、10機(光学衛星4機、レーダー衛星5機、データ中継衛星1機)の衛星を配備しており、地球上の特定の地点を最低でも24時間に2回監視する態勢を整えています。衛星寿命は5年~10年程度ですので、その度に新しく性能が向上した衛星を打ち上げています。将来的には光学衛星4機、レーダー衛星4機、データ中継衛星2機の合計10機体制の確立・運用が計画されています。

名目上は多用途目的なので災害時の運用も想定されていますが、実質的な目的が軍事用途といった事もあり、情報開示が非常に制限されています。災害時にも使用されているのですが、性能を隠すためにわざと解像度を落とした画像を提供する事もあり、運用方法の改善が求められます。

情報収集衛星の種類

情報収集衛星(略称:IGS)は主に2種類あります。1つは光学衛星、これは普通のカメラと同じく可視光を捉える衛星です。宇宙空間で運用できるよう改造されたデジタルカメラとも言えます。分解能は30cm~1m程度と推定されています。分解能が高く精度の良い画像が撮影できますが、観察対象上空に雲があった場合や夜間には撮影できない欠点があります。

もう1つはレーダー衛星で、これは電磁波を使って撮影します。分解能は50cm~1m程度と推定されています。分解能は前述の光学衛星より低いのですが、その代わり雲があった場合や夜間でも撮影できます。IGSシリーズはこの2種類の衛星を使って、地上を観察しています。

その他に、光学・レーダー衛星の撮影データを地上へ高速転送する為のデータ中継衛星も存在します。この衛星は衛星間光通信システムを搭載しており、従来システムより高速転送が可能です。データ中継衛星1号機は2020年に打ち上げられ、静止軌道上に展開しています。

構想上2機の中継衛星の配備が計画されていますが、現時点で2号機の打ち上げは確定していません。なおこの中継衛星は、情報収集衛星以外のデータ中継にも活用されています。

UPDATE:2024年6月14日

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