月周回有人拠点 Gatewayゲートウェイ

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月周回有人拠点とは
月周回有人拠点(通称:ゲートウェイ)は、月周回軌道上に建造される予定だった宇宙ステーションです。月の科学調査・月面開発、将来の火星探査の拠点として、アメリカ主導のもと、ヨーロッパ諸国(ESA)・カナダ・日本・UAEが協力して開発を進めてきました。
構想上のゲートウェイは総重量約63トン。ISSと比較すると大幅に小さく、1/7程度の小規模な施設です。最大4人が数週間から数か月滞在することができる施設でした。常時有人ではなく、大半の期間は無人で遠隔・自律運用する計画でした。ゲートウェイは、主に5つのモジュールで構成される予定でした。
HALO:居住・物流モジュール。ゲートウェイの中核棟。アメリカが開発。
I-HAB:国際居住モジュール。ESAが主導して開発。JAXAも生命維持装置・バッテリー等を提供。
PPE:電力・推進エレメント。電力・通信・推進・軌道維持を担う。アメリカが開発。
ルナ・ビュー:物資保管庫・窓・推進剤補給機能を備えるモジュール。ESAが開発。
クルー&サイエンス・エアロック:宇宙飛行士の船外活動や科学機器の搬出入に利用するモジュール。UAEが開発。
他にも、カナダがロボットアーム「カナダアーム3」を開発していました。HALO・I-HAB・ルナビューは宇宙船用ドッキングポートを備えており、有人宇宙船Orionや物資補給船、月面着陸船などがゲートウェイへドッキングし、宇宙飛行士が乗り換える構想でした。
計画休止
しかしNASAは2026年3月、従来構成のゲートウェイ計画を一時休止し、月周回拠点よりも月面基地の整備を優先する方針を発表しました。当初はPPEとHALOを結合し、ファルコン・ヘビーで先行して打上げ、その後SLSロケットでI-HAB等を追加する予定でした。しかし計画は度々延期され、2026年の計画見直しによって従来の日程は白紙となりました。
既に開発が進んでいた機器については、別の月・深宇宙探査で活用することも検討されていますが、2026年9月現在、従来構成のゲートウェイを建造・運用する具体的な計画はありません。
月長楕円極軌道
ゲートウェイは月長楕円極軌道(NRHO軌道)という特殊な月周回軌道を利用する予定でした。月の北極付近では月面から約1,500kmまで接近し、南極側では約70,000kmまで離れる長い楕円軌道で、約1週間で月を1周します。
月低軌道(高度約100km)と比較すると、地球とほぼ常時通信できる事、月面開発で最重視される南極の上空を飛行している時間が長い事、地球から比較的低エネルギーで移動できる事、軌道維持に必要なエネルギーが少ない事など、月周回拠点に適した様々なメリットがあります。
アルテミス計画
ゲートウェイは、アメリカ主導の有人月探査「アルテミス計画」の重要な構成要素として計画されていました。しかし2026年にアルテミス計画が再編され、ゲートウェイを経由する方式から、月面着陸と月面基地の建設をより直接的に進める方針へ変更されました。
現在の計画では、アルテミス3で地球低軌道におけるOrionと民間月着陸船の試験を行い、アルテミス4で有人月面着陸を目指します。
日本の役割
従来のゲートウェイ計画で日本は、I-HABに搭載する環境制御・生命維持システム(ECLSS)・バッテリー等の開発、新型宇宙ステーション補給機HTV-Xを発展させたHTV-XGによる物資補給を担当する予定でした。
一方、日本のアルテミス計画への参加は続いています。日本は宇宙飛行士が長期間生活しながら月面を移動できる大型有人与圧ローバーを提供します。これに伴い、日本人宇宙飛行士には2回の月面活動機会が与えられる予定です。アルテミス計画への参加を通して、日本は様々な月に関する科学探査や月面開発を進めていくことが期待されています。
