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国際宇宙ステーション ISSアイ・エス・エス

国際宇宙ステーションとは

国際宇宙ステーション(通称:ISS)は、アメリカ合衆国・ロシア・ヨーロッパ諸国・カナダ・日本の宇宙開発機関が協力して開発・運用されている、高度400km付近の地球低軌道を飛行している人類最大の宇宙居住・研究施設です。アメリカ主導の計画ですが、日本も大きく貢献しています。

ISSは様々な構成要素(モジュール)で構成されています。最大6名が居住できる「居住モジュール」、電力を生産する「太陽電池パドル」、研究・実験場の「実験モジュール」とロボットアーム、それらをつなぐ結合モジュールなどで構成されています。その大きさは108m×73m程もあり、小さめのサッカー場位の広さです。総質量420トン、人類が宇宙空間に保有する施設としては最大です。

ISS建設計画がスタートしたのは、1984年です。その後各国が参加し1998年、最初のモジュール「ザーリャ」を皮切りに打ち上げが進められ、2009年には日本実験棟「きぼう」が打ち上げらました。計40回以上の打ち上げを経て、2011年7月、ISSは完成しました。

なおISS主要モジュールは、主にアメリカのスペーシャトルとロシアのソユーズ・プロトンロケットで打ち上げられました。これはISSの巨大なモジュールを打ち上げられる程の能力が、日本のロケットには無かった為です。日本人宇宙飛行士も滞在する事がありますが、これもまた有人宇宙船及び有人用ロケットを所有していない為、移動はアメリカとロシアの宇宙船に頼っています。

日本実験棟きぼう

日本は、このISS計画に大きく貢献しています。その中でも最大なものは、ISSの4つの実験棟の1つである日本実験棟「きぼう」の開発・運用です。ISS実験モジュールの中で最も巨大な「きぼう実験棟」は、船内実験室・船内保管室・船外実験プラットフォーム・ロボットアームで構成されています。

船内実験室はその名の通りで、生命科学や物質・物理化学など、様々な実験が微小重力下で実施できます。保管室には予備実験装備や実験試料等が保管され、船内実験室とつながっています。これらは地上と同じ空気組成で与圧されており、宇宙服なしで活動することが出来ます。

とりわけユニークなのは、船外実験プラットフォームとロボットアームです。船外実験プラットフォームでは、実験装置を宇宙空間に晒して地上では出来ない、微小重力・真空環境下の実験・観測が実施できます。ロボットアームは主にこの船外実験をする為に使用される物でしたが、現在は超小型人工衛星をバネで直接、地球低軌道に放り出す事も出来ます。2024年4月12日時点で、きぼうから放出された超小型人工衛星は338機にも上ります。

日本は、このきぼう実験棟を開発・運用する事で、有人宇宙施設の開発・運用技術を獲得しています。きぼうはISS滞在中の宇宙飛行士と、日本のつくば宇宙センターが主体となって24時間体制で運用されています。但し、きぼうの全てを日本が利用できるわけではありません。日本はきぼう利用権の49%を保有しており、他51%は米国とカナダが使用します。その代わりに、日本はISSの居住施設や太陽電池から供給される電力を使うことが出来るのです。

宇宙ステーション補給機

実験棟きぼう以外にも日本が貢献している事があります。それは定期的な物資補給をISSに行う無人宇宙船HTV(通称:こうのとり)による輸送です。日本はISS運用経費の分担義務を、HTVによるISSへの輸送で履行しています。

HTVは打ち上げ時重量「16.5トン」という巨大な宇宙機です。実験装置・食料など最大4.7トンという大量の物資を輸送する事ができました。HTVは2020年までに9機が、日本のHー2Bロケットにより打ち上げられ、その全てが成功しています。現在はHTVの発展型であるHTV-Xの開発が進んでいます。(HTV-Xについて:別ページ)

宇宙ステーション補給機

ISSは各参加国の協議により、2030年までは運用される事が決まっています。日本はISSに参加する事により、「有人輸送技術以外」の多くの有人宇宙活動技術を獲得してきました。ISSで得られた経験は、国際共同月探査計画(通称:アルテミス計画)や日本独自の有人宇宙開発に生かされるものと期待されています。

なおISSの役割は今後、民間企業が開発する民間宇宙ステーションに移行する予定です。このほとんどは、米国企業によって計画されておりますが、これらの事業には日本企業が参画しているものもあります。

UPDATE:2024年4月20日

参考ページ

宇宙探査機

人工衛星

宇宙船

宇宙ステーション